未来に投資し、普遍的な価値を作ることを楽しみ、共有していくことができる組織に

今年の9月から、食堂を一緒に切り盛りしてくれる新しいメンバーが私たちの住む街に引っ越してきてくれます。家族が中心だった「僕の会社」から、家族以外の人たちも積極的に関わる「私たちの会社」に変わり、少しだけルールも必要になるし、継続していくために仕事のやり方も変えていかないといけないタイミングに差し掛かってきました。

このお盆の期間には、続けることがある意味目標になっていたこの10年の棚卸しをしっかり行い、次の10年を考える時間を取り、この文章を書いています。

デザインをやりたかった理由は「とにかく人と違う自分になりたかった」から

20数年前、社会人になりたての仕事は「経理マン」という立ち位置でした。
でも、何かカッコいいことをしたくてカフェのオーナーさんと夜な夜な街に遊びに出かけたり、なんか有名な人と知り合いになりたかったり、自分の立ち位置に自信を持つことができず、ふらふらしていました。もともとカフェをやりたいと思っていたのも多分雑誌の影響とかで、ゆっくりコーヒーを淹れているオーナーさんがキラキラしてそうに見えたからだと思います。

だから少しでもチャンスがあればと、安定した仕事を放り出し不安定でデンジャラスなべンチャー企業に迷わず飛びました。給料もロクに支払われなければ、モラルのカケラもなく、朝から朝まで働いても成果が出ない毎日に日々心が荒み、理想からどんどん離れていっていることに対する焦りもたくさんありました。

そんな中、会社で料理をやりながら、クリスマルケーキの案内のチラシを作成するために、macの前に座りイラストレーターに触れられるタイミングを見つけて、迷わずmacの前に座り、チラシの作り方なんて知らないのに昼間はフランパンを振り、夜は徹夜でインターネットで調べてデザインを形にする毎日に変わりました。

一度だけ辞めた会社の人たちと食事に行くタイミングあって、あんな仕事したくないと思っていたのに、みんなが夕方に居酒屋で楽しそうにビールを飲む姿を見て、僕が本当にやりたかったことって何だったっけ?と自分でも分からなくなってしまいました。

結局この頃は、自分自身が勝手に拗れて、仕事ができない自分に苛ついて、他人を見て嫉妬しているだけでした。
どんな仕事でも、一生懸命やっている人たちは輝いていて、他と比べず楽しめることが大切で、昨日の自分よりも今日の方が成長できているかが重要。上手くいっていないことを悟り、初めて自分のダメなところに目が向くようになりました。そんな時に仕事をしていても上手くはいかないことは明らかでした。

どんな困りごとでも解決したいから、この10年でとにかくやれることを増やしていき気がついた事

自分がやれそうなら無いお金を捻り出しカメラを買ったり、ケータリングの機材を買ったり、色々なことをしていると「デザイナーのくせに」とか「一つに絞った方がいい」とかたくさんのアドバイスをもらうことがありました。これから数年の間になくなっていく仕事とか、再編される仕事とか、今までの括りで世の中の仕事が動く保証もやっぱりなくて、パソコンの前に座ってmacを操作するだけでは、上手くいかないなと思うこともたくさん出てきました。

閉鎖的な業界にいると、例えばみんなが一つのことをしているのに二つのことをするとルール違反に思えたりすることがあるけど、結局クライアントはどんな手段を使っても目的にコミットして欲しいと思っているはずで、目的に到達するための手段はもちろんたくさん持っていた方が、到達する確率は高くなります。

一つの解決方法しか持っていないと、自分の都合で手段が目的化してしまうことがあります。自分たちが持ち合わせている手段で解決できないなら、手段を手に入れるか持っている人に協力してもらうしかありません。そう考えると、いかに頼れる人がたくさんいるかがやっぱり大切で、僕自身の引き出しが増えるだけでは限界だと思うようになりました。

これから20年間は、未来に投資し、普遍的な価値を作ることを楽しみ、共有していくことができる組織になることが目標

  • 僕たちが活動することは、世の中にとって価値があることだろうか?
  • その価値は短絡的なことではなくて普遍的なものだろうか?
  • そしてその活動自体がやっていて本当に楽しいか?

仕事は辛くて当たり前と思っている方もいると思うけど、僕たちは辛くても最後に楽しかったと思える終わり方をしたいなといつも考えています。そして、仕事の大小よりも普遍的な価値を築けたかどうかを考えて前に進みたいと思います。

生活費もないのにヤフオクで13万円で買った20インチのimac。その1台のmacから仕事が始まってから15年。めちゃくちゃなスタートで、仕事としてやっていることは全て独学。師匠という人はおらず一匹狼でやってきました。それでも情報を手に入れられる時代に生まれたことがラッキーだったかもしれません。

どんな時代でも時代にフィットしながら、変わらない価値を生み出せる組織を目指してこれからまたゼロからスタートしたいと考えています。起業した時に感じたあの不安をまた感じていますが、それも仲間と共に乗り越えていけたらいいなと思います。

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