100人を超えるゲストに向けたフルコース料理に初挑戦しました


僕たちのケータリングチームは、約12年前に個人的にお世話になっている建築事務所「co2works」さんの忘年会で料理を頼まれたことから始まりました。
 
そこから毎年co2worksさんのパーティーでごはんを作ったり、先輩のデザイン事務所にごはんを作りに行ったり。主にプライベートなパーティーで食事を作るのが毎年恒例になり、楽しいから続けているスタイル。ギャラは無しというか、頂いた分を全部材料代にしてしまう無茶なスタイルだったので、楽しそうと参加してくれるボランティアに支えられたチームでした。
 
最初のターニングポイントは僕たちが運営していた飲食店で一緒に働いていた、当時バイトだった磯谷くんから結婚式を頼まれたこと。僕たちの少人数のチームではまかないきれず、お世話になっていた名古屋の老舗ビストロ「パイの美」の落合シェフに相談したことが初めてのチーム体制でのプロジェクトでした。
 

パイの美の閉店、それから色々な困難なことをたくさん乗り越え、現在は「ビストロ・シェ・スギ」のスギさんがお料理を作ってくださっている。
 
4年前に初めてのガーデンウェディングをやる機会を頂けました。当時相談していた金山にあったビストロのシェフが入院するトラブルがあって、代わりに初めて会った僕たちの無茶なお願いに対応してくれたのがスギさんでした。代わりといっても式の10日前という緊急事態。あの10日間が僕が独立した中で一番しんどかった出来事でした。
 
あの時話していた「70人のコースは無理でしょう」という話。確かにあの時は無理だった。グラスも皿もなくて、車の手配すら上手にできずに、お客さんの要望がブッフェだったこともあって何とか乗り切りました。
 

そこから約4年間、僕たちのチームは色々な案件を経験して、ケーキは「Takissa」の滝さんがいつも睡眠時間を削って焼いてくれたり、専門学校の先生に助けていただいたり。色々な方の協力があって何とか色々な要望にも対応できるチームに成長しました。
 
正直、毎回反省ばかり。もっとこうしたかった、ああしたかったの連続で、それは今もずっと変わりません。でも少しずつ良くなってきていることは素直にすごく嬉しいし、今回の130人という規模でフルコースに挑戦できたことは、僕たちチームにとっても自信に繋がりました。
 

意外かと思われるかも知れませんが、ケータリングの仕事は普段のデザインの仕事ととても似ています。
アウトプットのゴールをイメージして、そこに向かって得意分野をみんなで分業して、各々が最大限の力をそこで発揮する。プロデューサーはみんなが仕事のやりやすい様に、段取りや予算管理やスケジュールなど全てをまとめる。
 
僕は料理の現場経験者でもあるので、現場に入りながら常にタイムテーブルと時計を見て作業を進める。数年前に「レストランが料理を作っているんでしょ?」と言われた時に、僕も手を動かそうかなと思ったことがあるけど、もうそんな規模感の仕事ではなくて、僕は30人ものメンバーをまとめながら、確実にゴールに向かうように調整していかなければいけません。
 
僕が現場で一番大切にしていることは「いい余韻をどう残せるか」を考えること。どんなに大変でも最後に「やってよかったね」と思えること。自分だけ嫌われたくないからと八方美人になるくらいなら、大変でも十方美人を目指すこと。自分にとって都合のいい人を集めることよりも、自然の流れで集まった仲間と、その時できる一番のことを目指すこと。
 
見ず知らずの有名な人に会いに行って写真を撮ってもらったり、そういう場所に出かけて知り合いになろうと頑張ってSNSに投稿したり、確かに今の世の中はセルフプロデュースも大切かも知れません。
 
でも、「何もない」ものを「ある」ように見せかけて演出するよりも、毎日できる限り色々なことに挑戦していくことの方が成長に繋がるんだと、独立して7年くらいで本当に学びました。
 

3人くらいで趣味で始めたケータリングが、ウェディングで100名を超えるゲストにフルコースを提供できるように成長するなんて誰が考えただろうか。もっといいもの作りたいと色々とツールを揃えていき、気がついたら150人のゲストを全て自前でおもてなしできる様になるなんて誰が想像しただろう。
 
毎日少しずつ成長していけば、スタートでは想像できなかったところまでたどり着くことができます。そのプロセスを経験している人たちはやっぱり強い。
 
ありがたいことに最近では色々手伝いをしたいと問い合わせをいただくことが多くなりました。でも最近は僕なりの考えがあって、積極的にお手伝いの方を募集していません。
 
こうやって写真をみるとアウトプットは華やかだけど、裏側では夜中0時を過ぎても大量のお皿やカトラリーを洗ったり、倉庫で荷物を積み降ろして帰りが夜中の3時を過ぎたり、見えないところでメンバーみんなが努力をしています。
 
そこまで想像できてない人たちに無理やり仕事を押し付けると、きっと負担になってしまう。華やかな現場だけを経験しても本当の仕事を学ぶことは出来ません。だから最初から最後まで参加してもらって、やる人にとって意味があると思える時以外は全てお断りしています。
 
オファーにどう応えればいいのだろうと、悩んだこともあったので少しここに書き残しておきます。
 
楽しい時間や苦しい時間をたくさんの人と共有できているのは、とても幸せなことだと思います。
きっと、もっとおじいちゃんになった時に、苦しかったことも楽しい思い出として心の中に残っていくんだろうと思うと、これからもっといろんなことにチャレンジしていきたい。
 
まだ大きなフードの仕事が年内に5件も控えています。
それに加えてグラフィックやウェブデザインの仕事もたくさん。
忙しく思える毎日に感謝したいと思います。

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