例えばデザインはどこかで学ぶものではなくなったとしたら
12年くらい前、エディトリアルデザインを1年で学ぶデザインの専門学校に入学しました。
入学前に独学でデザインのソフトを触っていたものの、業界スタンダードなデザインの手法を知らないといけないと思ったから、やっぱり学校に行った方がいいかなぁと思ったからです。今考えるとやっぱり小さい新聞広告とかを作るだけでは自信がなかったんだろうと思います。
今だから理解できるけど、デザインを学ぶというのは「手段や手法」を学びたいのか、デザインする「目的」を学びたいのかで学ぶ場所が違うと思う。僕が行った学校は(良いかどうかを別として)イラストレーターやフォトショップの使い方、文章の書き方といった「手段」を学ぶ学校でした。
雑な言い方になるけど、今はgoogleを引けば「手段」は簡単に分かる時代で、それを使えば形にすることはできる。
おそらくインターネットがなかった時代はこの「手段」がお金になった時代だったんだろうと思っていて、撮影を例に考えると、フィルム時代は露出を合わせて間違いなく撮ること自体が難しかったから、「撮ること」自体に価値があった。でも今は撮った瞬間に確認できて、何度でもやり直せる。だから昔ほどの価値がなくなってしまった。
撮影に対するコストが削られたと言われるのは、この「撮るだけ」という分野の仕事であって、その先の仕事はデジタルに移行したとかそういう理由だけで振り回されていない気がする。
さて、僕たちが目指している「デザイン」というのは、この「手段」を遂行してお金をいただくことではなくて、その先の「目的」を達成したいという想いがあって活動しています。だからグラフィックデザインはグラフィックを使ってお客さんの目的を達成すること、フードデザインは食という分野でお客さんの目的を達成すること、ウェブデザインはウェブを使って目的を達成することと考えています。一見違うように見えるのですが「目的を達成するのが仕事」なので、僕の中では全部同じことをやっているというイメージです。
さて、これから学ばないといけないのは「手段」の部分ではなくて、このプロジェクトの「目的」が何かを理解して、それに適した手段を提示して実行するスキルを身につけることです。
おそらくこれは学校ではなかなか教えてくれない分野なので、自分で社会のことや業種のことや色々なことを学ぶ必要があります。その色々な物事を関連付けたり相関付けて、問題点を炙り出し改善する。
ビジュアルや広告のコンセプトだけで問題を解決することは難しい。もっと突っ込んだことをやろうとすると、デザイナーが先生のようになるのではなくて、お客さんとイーブンの関係で「寄り添って色々なことを一緒に考える」ことでしか、問題を解決できない気がしています。
デザインってどこで学べばいいんだろう。
手段だけではダメな時代に、課題の目的や問題を見つけるにはどうしたらいいのだろうか。
どうやら、より広い目で俯瞰して、よりその先を見通せる力が必要な時代になってきたようです。
DATE : Canon Eos 5D MARK3 / EF24-70mm F2.8L II USM
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