自由になりたいと思ってた

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会社に勤めていた時、決まった時間に出勤することに疲れていた。フリーランスになれば平日休んだり、ビールを飲みに行けるし嬉しいなと思っていた。
 
独立してもうすぐ丸6年になる。平日休むとか、好きな時間に働くとか、昼からビールを飲むこと=自由と思っていたことが、どれだけ浅はかなことかがよくわかるようになった。いろいろと仕事をしていくと、色々な立場のお客さんのペースに合わせて動きたいと思うようになって、土日も正直関係無くて、それも全く苦にならなくて。僕は仕事が好きなんだと気がついた。
 
いつも面倒だと思ったり、大変だと思ったりするけど、それでも仕事をやらせてもらえる今のスタンスは、本当の意味で自由で楽しい毎日だ。
 
ものづくりには2通りあると思っていて、一つは他人のために作るもの。もう一つは自分のために作るもの。どっちでもない他人の顔色を伺った作品は心に響かない。
 
37歳になって、今まで以上もいろいろと終わりのことも考えるようになってきた。
 
近所に僕の好きな中華料理の店がある。ビール、ニラレバ、えびチャーハン、ラーメン。どれを食べても美味しい。
食べログにはどこにでもある普通の味とか、化学調味料がどうだとか色々とかいてあるけど、そんな上から目線で偉そうに書けるほど僕は尊い人間ではなくて、それよりも毎日店をあけて、近所のサラリーマンや僕たちのようなお客さんに料理を作っていることがどれだけすごいことか。多分75歳は過ぎていると思うけど、あのお父さんの様にどんなお客さんにも毎日礼儀正しく、いつも変わらず料理を作っていることがどれだけすごいことなのか。自分も若い人からそう思ってもらえる大人になりたいなと思う。
 
近所の商店街には昔からの中華料理、うどん、喫茶店があって、どこのお店も素敵な生き方をして来たんだろうと分かるご主人たちがお店を守っている。お金だけでない働き方をしている人たちを見ると、僕もそうなりたいと思ったりする。たぶん僕は儲け話よりも、生き方の方が興味があるんだと思う。
 
自由って、人と違うことをすることだと勘違いしていたけど、本当の自由は他人の顔色を伺わなくて生きることのような気がする。
 
この世の中では、人の顔色を伺わず生きていくことは難しい。でもそうやって生きている人がいるのも確かだ。
だから僕はそれを目指したいなと思う。

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