デザイナーが写真を撮影する場合の注意点
カメラマンがデジタルカメラで業務を行う様になってしばらく経ちますが、最近の現場ではデザイナーが撮影を行う場面が出て来ており、他にもクライアント様が撮影して素材支給でデザインをお願いされることもあります。私自身もともとデザイナーですが、現場でシャッターを切る事もあり、別件では撮影のみの仕事を請けていることもあります。
これは時代の恩恵なのかも知れませんが、確かに誰でもシャッターを切ればものは写ります。でも基本的にはインフラが整っていない体制での撮影業務はリスクを伴い、デザイナーではクオリティーが担保出来ないことも多々あります。なので基本的にはカメラマンに撮影をお願いすることを基本として考えてほしいと思っています。
ということで、今日は依頼側の立場からしてどんなデザイナーなら撮影してもらって大丈夫なのかを、インフラ面から紹介したいと思います。この部分でまず判断するのがとりあえず分かりやすいと思います。
1.カメラについて
デジタル一眼レフカメラが必須ですが、必ずフルサイズのカメラを使用しているかを確認します。(例はcanonの場合)
- Canon EOS 5D
- Canon EOS 5D MARK2
- Canon EOS 5D MARK3
- Canon EOS 6D
- Canon EOS 1DS シリーズ
など、通常のカメラマンはCMOSセンサーが35mmサイズ以上の一眼レフを使用しています。
メインでフルサイズ、サブ機でフルサイズもしくはAPS-Cサイズの2台持ちが基本です。APS-Cと呼ばれるもう少しCMOSセンサーが小さいカメラは、高速シャッターを切るために必要な場合があるので、きちんと使い分けているかを確認します。カメラ1台で現場に来るのは何かあった時に困るので、必ず2台は持っています。
2.ストロボ(クリップオン)について
ロケ等では光量が足りない場合にストロボを使用することがあります。最近はカメラの性能が良くなって来たので、高感度でストロボを使用せずに撮影する場面も多くなってきました。写真のストロボはcanon Speedlite 580EX2という、5D MARK2に使用できる一番明るいストロボです。
3.ストロボ(モノブロック)について
ジェネレーターが付いていない持ち運びに便利なストロボで、最低でも2本あれば料理や物取りなどのライティングが可能です。200Wや400Wの出力違いがあると便利です。このあたりの機材を使いこなせないと、撮影は厳しいのでロケなどにも持ってくるのが普通です。写真がCometのTwinkleシリーズで、高杉アトリエではこれを2本と他のモノブロック2本、合計4本用意しています。
4.レンズについて
レンズは大事で、最低でも標準レンズ、広角レンズなどを持っていないと撮影に対応出来ません。レンズは撮影のクオリティーに影響が出やすいので、きちんと使い分けているか確認します。canonではLレンズと言われる赤のラインが入ったフラッグシップのレンズを使用することが多いので、それを使用しているかどうかを見たり、Lで無くても単焦点の良いレンズがたくさんありますので、そういったものを使い分けているのかを見るとよいです。
5.カラーチャートについて
撮影したあとに現像の処理を行いますが、通常カメラマンはカラーマネジメントを行い、適正な色で写真を現像してから納品しています。
デジタルになってコストがかからないと思っている方が多いようですが、実はフィルム時代この現像処理はプロラボと呼ばれる現像専門の業者さんが行っていました。
レタッチャーが入らない場合、現在はこの業務をデジタル処理としてカメラマンが行います。カメラマンの作業負担は増えているので、決してフィルム代がかからないからといって、劇的に安く仕事ができる訳ではないのがこのためです。話を戻すと、この現像処理を行う際に、撮影環境内での色管理を行う必要があります。そのためにカラーチャートを使用して、基準の色に補正する作業を行います。カラーマネジメントの概念を知らないデザイナーもいますので、そうした方が撮影を行うことは色管理の面で非常にリスクを伴いますので気をつけてください。
6.ノートパソコンについて
これは必須ではありませんが、撮影しながら内容を確認していくことは最近では当たり前になってきました。高杉アトリエではカメラとノートPCをUSB接続して、PCで画像をチェックしてもらうワークフローで撮影を行っています。photoshop Lightroomで撮影と同時に画面でプレビューを行っています。
まだ必要な事はたくさんありますが、これがインフラ面からした最低限の必要なことです。コストも重要ですがデザインにおいて写真のクオリティーは非常に重要です。ただ安いからといって簡単にデザイナーにシャッターを切ってもらうのではなく、いいデザインに仕上げるためにその会社がどんなワークフローを持っているかを見て頂けるといいかと思います。
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