古民家の活用を考える前に、どう終わるかを考える大切さ
約6年前に購入した松阪市の山奥にある「古民家」。
僕の松阪市への関わりはここから始まりました。ソーラーパネルになるのを止めに行き、その流れで購入して菓子製造免許を取得して、餅菓子の加工をやっていました。当時はここを事務所にしたり色々と考えて、屋根の修繕や設備の導入など結構な金額のお金を費やしました。
やりながら修繕の見積もりを取っていても莫大な経費がかかること、それに見合った収益が見込めないこと、協業していた農家さんとの行き違いやルール違反などたくさんの問題が起きたことから2年前に事業を停止、それから古民家は使われていませんでした。
とはいえ、この活動を通じて市役所に勤める内田さんと知り合い、交流を重ねて未来の話をする結果として今はデザイン事務所ごと松阪市飯高町に移住して街づくりに取り組んでいる。結局やりたかった街づくりにも関わり重要な仕事にもチャレンジさせてもらえる今の環境はとても有意義で充実した毎日です。
今月からこの古民家を解体し始めました。この6年間の活動は決して無駄にはなっていませんが、今考えるともうちょっと考えておいた方がよかったかなと思う部分もたくさんあるので、そこだけは記事として残しておきたいなと思います。
6年半前に、約1000㎡の敷地と約80年の古民家を購入
当時の写真を見てみるとまだ綺麗な感じで、独立して数年経ち何か新しいことをやりたいと考えながら購入。色々とやろうとやる気に満ち溢れていました。当時この建物を購入して経費を払い設備を整えるので200万円ちょっとかかりました。土地建物で150万円、行政書士の先生への支払いや内装をいじるための経費が50万円くらいでした。
当時は修繕のことなんか全然考えておらず「何とかなるだろう」というざっくりとした形で色々な物事を進めていました。公図と実態があっていなかったり、正式な住所と登記の住所が間違っていた関係で登記を修正したり、農業委員会に農地転用の許可を申請したり、知らなかった土地の売買についてとても勉強になりました。
為になった手続き関係
- 土地の売買方法や登記の手続き
- 農地転用や農業委員会の存在とその意義
- 上下水道がない場所での水の確保や排水設備の重要性
- 食品製造の保健所許可のための井戸水の消毒について
- 新規事業で借り入れを実行すること
4年前、業者に依頼して不用品の処分と軒先の修繕を行った
古民家の中にはたくさんの荷物があったため、業者さんにお願いをして家の中身の家具などの不用品を全て処分しました。確かかかった費用は30万円くらい。荷物が意外に多くて本当は50万円くらいだったなぁと業者さんに言われたのを覚えています。古民家を購入するときに荷物が有るか無いかはとても重要な問題で、処分費用は結構高いので馬鹿にならないなぁと当時感じました。空き家バンクに登録した物件を購入すると、家財処分などで補助金があるのは後で知ったことでした。
少し落ちていた軒先の修繕も行いました。大工さんに払った金額は30万円。振り返るとこれだけでも結構な金額だなぁと思います。名古屋から松阪に通っていたので交通費も結構掛かっていた覚えがあります。
古民家を購入する場合、確認しておいた方が良いこと
- 家財道具を処分する必要があるかないか。処分する場合処分費を考えておく
- 必ず修繕する箇所があるかどうか。雨漏りなどはそこから建物が悪くなるので必ず対応する
- 汲み取りのトイレの場合は、浄化槽を設置してトイレを新設する必要があったりする
- 給排水の導線は必ず確認する。(購入した古民家は用水路までの排水経路が無く、地面に排水を浸透させていた)
古民家を購入する時に、最後にどうするかも決めておく
古民家を購入する場合、最後に放置されないようにいくつか考えておかないといけないことがあります。例えば…
- 最後に取り壊すなら、取り壊すために幾らかかるのかを調べて、資金の目処を立たせる
- 売却を考えているなら、取壊費用を割引して販売するつもりで販売金額を考えた方がよい(多分高く売れない)
- 長く住むつもりなら、何年後に修繕が必要かを考えて、資金の目処を立てておく必要がある
- 相続人が複数いる場合、相続の方向性を予め決めておき、相続の手続きが放置されない方法を考えておく
始まりには必ず終わりがあることを、正しく意識する
僕自身が購入している不動産は、全て会社の事業用として取得しています。
全て街づくりに活かすために購入しているものなので、僕自身が年齢を重ねて世代交代が必要な場合には、株式の譲渡や売買などで、スムーズに業務を引き継いでもらいたいという想いで、事業の全てを法人で管理しています。
どんなプロジェクトでも、始めることより続けることや「終わり方」を考えることがとても重要だと思います。せっかく良いことをやっていても最後にやりっぱなしで散らかったままの様子をみるとすごく寂しいです。
始まりには必ず終わりがあることを意識して、どう「終わっていくか」もデザインして事業を設計したり、暮らし方をデザインしていくことが大切。中山間地域で古い建物を購入するなら、そこまでをきちんと「意識」しなければなりません。それが出来ないなら購入するのは正直おすすめしません。
そこまできちんと考えて、豊かな中山間地域の暮らしを楽しんでほしいなと思います。
MORE POSTS
住宅宿泊管理業の登録実務講習
僕が考えている、これからの話
地域おこし協力隊をひとまず終えて
奥松阪という名前に込めた想い
農林漁業体験民宿の手続きのプロセスを公開します
三重県公安委員会許可 第541022002300号 古物商(道具商)